2014年1月22日水曜日

ドグマの影 - 偽遺伝子に想いを寄せて -(on twitter @rahumj)

偽遺伝子 (Pseudogene)
DNAの配列のうち、かつては遺伝子産物(特にタンパク質)をコードしていたと思われるが、現在はその機能を失っているもの .偽遺伝子は,今日,遺伝子発現の安定化等の重要な生物学的役割を果たしていることが知られている.

偽遺伝子は,機能遺伝子とは異なり進化上の淘汰を受けないため変異が蓄積しやすく,機能遺伝子に対する直接の変異に比べて表現型に与える影響は穏やかである.これは偽遺伝子が生物の進化や,ヒトにおける多因子疾患(糖尿病・高血圧、精神疾患)などの原因になっていることを示唆する.
かつて研究者によって,何の機能も果たしていないと考えられていた偽遺伝子は,「生物学的進化論的負の遺産」「役立たずのゴミ」と見なされていた.しかもそれは通常の機能遺伝子と似通っていた為に,遺伝子診断や研究等においては「邪魔者」であり,呪いの対象ですらあった.ところがその後,通常の機能遺伝子とは異なる,偽遺伝子の生物学的機能が偶然発見され,研究者達を驚愕させた.

 その主人から見捨てられ「役立たず」と蔑まれながら,人の驕り,ドグマの影の中で,僕であった「偽りの者」は,その主人の生存のために,黙って日々,働き続けていたのであった.

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