「自分の生きているこの場所(世界)は,いかなる場所であるのか?」
この知識への強い欲求はしばしば,自己の生存に関する不安に依拠していると思われる.
現代人の特徴と呼ばれて久しい「不安」を持たない人間,すなわち平安に満たされて生きている人間は,この世界よりも,己にもたらされた平安の源泉に関する知識に深い関心を持つ.
ゆえに平安は,良い意味でも悪い意味でも,人を世界から乖離させる両刃の刃でもある.逆に不安は,人の目を自分のいる世界へと向かわせるポジティブな側面を持つ.
厭世的平安に甘んずることを戒め,この猥雑な世界の直中において,祈りと不安と共に「生きる」勇気を持つこと.
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