2013年12月16日月曜日

銀幕(on twitter @rahumj)

 彼の「目の中のウロコ」は銀幕であった.彼は彼の内側で人工の光を発する映写機を回して,自分が監督した映画作品を銀幕に映し出し,それを堪能している.

 しかし停電が起こり,映写機が止まると同時に,彼は漆黒の闇に包まれた.恐れおののきながら,彼が光を求め祈ると,どこからともなく小さなともし火が現れた.

 彼は闇の中でそれを手に取り,上にかざして,あたりを見渡した.するとあの銀幕が,実は何者かによって,無数のウロコを貼り付けて作られたものであることがわかった.

 試しに彼が,そのうちの一枚はがしてみると,小さな穴があいた.彼は穴をのぞき込む.初めて見る外の世界.それは闇夜であった.

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